- 2010-06-13 (日)
- ニュージーランド(5) Raglan, Manu Bay でのサーフィン
『ニュージーランド(4) サーフタウンRaglanのSolscapeロッジ』より続く。
このページの写真やビデオは、ラグラン( Raglan )を出発する日の朝。大きなスウェルがヒットして、マヌベイ( Manu Bay )の真価を目撃することができました。ビデオの最初のサーファーは、NZのプロサーファー Chris Maloneとのこと。左端のテイクオフポジションからドロップして、バレルにプルインすると、5秒以上チューブに入っています。
前日はさすがにここまでサイズはなかったのですが、朝のフラットが、午後3時ごろにはすでに頭以上にサイズアップしていました。
伝説的なサーフィン映画、エンドレスサマーの舞台となり、世界一長いレフトが割れるとも言われるラグランは、大きく分けて Manu bay、Whale bay、Indicatorsの3つのブレイクからなります。南太平洋の吼える40度線で生まれたうねりが、大きな湾のリーフにヒットして、3つのポイントで順番にブレイクする。マヌベイはその中でも一番メジャーなブレイクで、大きな駐車場と展望台が設置されています。
ポイントへのエントリーは、テイクオフポジションの外側の岩からダイブする方法もあるのですが、セットをくらうと流されてえぐそうだったので、インサイドから湾の沖合いをパドルしてラインアップに向かいます。ボトムは、ゴツゴツした岩に海草がついたリーフ。潮が引いていると、海草ですべる岩の上を歩く必要があって、実はこれが意外と大変。ツルッとすべると確実に足の裏を切ります。
ラインアップには、20人ぐらいのサーファー。しばらくマヌベイの雰囲気を観察します。波は完全なポイントブレイク。サイズは頭〜頭半ぐらいなのですが、たまにダブルオーバーのセットが入ってくるときがある。うねりが集約される湾という地形の特性なのか、サイズの振れ幅が大きい。でかいセットがはいったら、直撃を避けるために、水深の深い湾の内側にエスケープする必要があります。以下の写真は、さらにサイズの上がった翌日のものですが、イメージショットということで。
セットのうねりは、まず左端の岩場にあたってブレイクし、正面のワイド気味のセクションを抜けると、湾の内側に向けてショルダーが張っていく感じです。正面のテイクオフ直後がちょっと曲者で、ビデオではバレルを巻いている場所ですが、サイズが小さくても確実なボトムターンをしないとショルダーに出られない。というより、うまいサーファーが、一番奥のポジションからクローズ気味にテイクオフしたあとに、バレルにプルインするか、大きなボトムターンを描いてショルダーに出てくるので、基本的には一番奥しかテイクオフポジションがないのです。
幸いにも波数は十分に多い。セットが入ると奥にいるサーファーから順番にテイクオフしていきます。ラインアップに入るには、岩場の近くでパドルしながらポジションをキープし、自分が一番奥になるセットが入ってきたら、躊躇せずにテイクオフするしかない。テイクオフのためにパドリングをはじめると、全員の視線が集中するのはポイントブレイクに特有の緊張感。
分厚いうねりのスピードに、パドル全力で追いつくと、すばやくボードの上に低い姿勢で立ちあがり、右手でボードのロッカーをつかんでスタンスを固め、リーフのパワーを受けて切り立つ水の斜面に、サーフボードを食い込ませる。うねりの推進力と、高く持ち上げられた水の重力を背中に受け、波のボトムに向けて一気に滑り降りる。波のパワーの源、ボトムの滑走面をドライブしてサーフボードを加速し、遠心力で大きな弧を描いてショルダーに駆け上がる。
透明な水の壁面と、空の境界線にボードを当て込み、体を返して上空から眺めると、パーフェクトな水の造形が眼下に広がっている。太陽の光を受けて輝く、ピシリと左方向に開いた波の斜面。インパクトゾーンで炸裂する白いスープと、海面の深いブルー、抜けるような青空のコントラストが網膜に焼きつく。ボトムターンとリッピングを繰り返しても、次々に現れる波の斜面。マヌベイの岬を滑りきり、うねりが再び湾の内側に消えていくと、ようやく一本のライディングが終了した。
インサイドからラインナップに戻るパドリングの最中、自然と笑みがこぼれてしまう。周りのサーファーも、皆そんな感じ。一本波に乗ると緊張感もとけて、雄大な景観を楽しむ余裕もでてきました。すごく沢山の波に乗れたわけでは無いけれど、日が沈むまで、素晴らしい時間を過ごしました。
マヌベイは、強烈な印象が残ったポイントでした。雄大な湾、岬の形状、海底の地形、うねりの方角、そのすべてが、最高の波を生み出すべく、計算されて配置されているかのようです。単なるひとつの景色ではなく、その場所自体が、何かの意思を持っているようにも感じる。訪れる人を一目で魅了し、その内へといざなう。だが、目の前に立つと、美しさに秘められた、猛々しい威厳を示し、こう訊ねる。『おまえに準備はできているか?』と。頭の中に響くその声は、不安と恐怖をかきたてる。そして、経験と自信、そして勇気をもって一歩を踏み出した者には、目くるめく光景と、歓喜の瞬間を与えてくる。ただし、最初に見ることができるのは、ほんの表層だけだ。もっと巧く、さらに強く、より正確に動けなければ、本来の姿を見ることができないことを痛切に感じる。だから、また帰ってきたいと、強く思うのです。
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